ヒトの肉体は、その機能の全てを言語化し唯物論の用語によって余すことなく記述することが出来る。肉体も器官に過ぎない。その物理的な制約がヒトの進化を留めているのだとしたら、それはヒトという種の終わりを、いもしない神によって決定づけられているようなものだ。ヒトの中に刻まれた情報は、その個体が意識を受けて得たものだけではない。ヒトという種が連綿と繋がり続け、情報をその中に蓄積してきたのだ。
地球には地球自らが持つ固有の電磁波が存在する。電離層と地上との間で、ELF帯、つまり極超長電磁波として、8Hzの周波数の共鳴が常に起こっている。これを、シューマン共鳴と呼ぶ。この、地球が常に放っている、いわば地球の脳波は、人類にどれだけの影響を及ぼしているのかは未だに分かってはいないが、このシューマン共鳴を触媒として、プロトコルのような共有言語の役割を果たせば、デバイスなしで人脳間ネットワークが形成されることも有り得る。
地球の人口は、やがて、脳内のニューロンと同じ数に達する。ニューヨークベースのコラムニスト・講師であるDouglas Rushkoff氏は、地球上の人間同士が、ネットワークで相互接続することにより地球自身の意識をも覚醒させうるとしている。確かに、ネットワークはニューロテックに進化を遂げており、ヒトの脳内のシナプスに繋がれたそれと同じく、地球そのものがニューラルネットワークと化しているといえる。更に、それらに伴った独立した人間行動が、脳としての地球の役割を補完することになるだろう。
しかし、そのようにして地球が一つの「もの」としての回帰に近づくのであれば、あるいは、そうでなくとも、我々の存在は、ただそれを構成する一要素でしかなく、接続されながらも、意識体としての我々は独立的であるため、インディヴィジュアリティの遍在という矛盾に突き当たる。